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航海タイム

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第十九章 光(後編)

4

 果て無く続く海岸線。
 この辺りは海賊も多いと聞かされており、ヨーロッパから南下してきた際にも、陸伝いに進むのは避けて来ていた。
 そしてその情報は確かに間違っていなかったのだ。
 メルキオールを首領とする海賊団もまた、ルアンダから南へと続く海岸線の辺りを根城としていたのだから。
「そろそろだ」
 ニ日とちょっとの間、かおるは殆どずっと無言でいた。
 だからその言葉もまた、二十数時間ぶりに放たれた声であった。
 慣れ親しんだ船員達も、フェレットでさえも話し掛けることができない程、彼は鬼気迫る表情をしていたのだ。
 食事も、睡眠も取っていない。
「そろそろって……こんな近くに海賊が居るなんて……」
 フェレットは単純に驚いた顔になっている。
 海賊達の軍勢がどれ程のものなのかは解らない。
 だが、その海賊達がもし町に押し寄せてきたらと思うと、空恐ろしくなる。
 間違いなく、ルアンダの町などでは防ぎきれないだろう。
「一定の期間を取って幾つかの箇所を移動している。根城を特定されない為に。今はこの先に居るはずだ」
 さすがに危険が近いとあって、かおるも必要な言葉だけは話すようになった。
「勢力は、どれ位なんです?」
「こっちの最低十倍。最高で四、五十倍だ」
 また何と曖昧な答え。
 フェレットは眉を潜めて黙り込んだ。
(こっちが一隻、しかも沈む寸前なんだからそりゃ十倍はいるでしょうよ。まさか、出遭うなり撃ち込んでこないとは思いたいけど)
 向かう先にいる海賊は、かおるさんの知り合いばかりのはずなんだから。
 ……あの子達を殺したのも、その海賊どもの差し金と言う訳か。
 それなら、攻撃してきても不思議は無い、か……?
(何時でも逃げれる準備しとこう)
 戦いを見届けるとは言っても、そうする事で命を失う訳にはいかない。
 ただ戦いを挑むだけなら、それは自殺行為そのものだ。
 幾ら今のかおるさんでも、まさかそんな気は無いだろう。
 そう願うしかない。
「フェレさん」
 不安げな声でリィが呼びかける。
「います。この先に」
「見えたか?」
「ええ。うっすらとだけど」
 フェレットは目を凝らして見るが、何も見えない。
 時刻は真夜中。
 視界が利かないこの状況で襲撃されれば、ひとたまりも無いだろう。
 さらに数分進み、ようやく他の面々にも敵の存在が視認出来るようになった。
 まるでかかり火が焚いてあるかの様だ。
 所々にぽつん、ぽつんと赤色が点在している。
「帆が赤い……?」
 疑問の色をした声でフェレットが呟いたが、それを向けた相手はこちらに振り返らない。
 フェレットの苛立ちは募る一方であった。
 不安は最早極限、これ以上重なるスペースそのものが存在しない。
(正直、今のかおるさんはまずいかもしれない)
 普段からして特別冷静なイメージは無いが、今は完全に頭に血が昇ってしまっている。
(何とかしてあの人を冷静に。いや、無理か)
 そんな手段が無いことは、考えれば容易に判る。
(仮に僕がかおるさんの立場だとしても……犯人を許して置けるはずが無い)
 かおるさんにとって誰よりも――きっと僕らと同じか、それ以上に大切な存在。
 それを踏み躙られたのだ。
 一体、何の意図で?
 それはきっと訊ねなければ解らないだろうし、今は訊ねても無理だろう。
 そしてそれをする時間ももう、ない。
 幾多もの、赤。
 うち一つが、ゆらりと蠢いた。
「戦闘準備を」
 指示を下すフェレット。
「要らんよ」
 だが、かおるが即座にそれを止める。
 唖然としたのはフェレットだけでなく、全船員だ。
(もう勝手にしろ!)
 フェレットは思った。
 これで撃沈されて皆海の藻屑と消えてしまっても、自分の責任ではない。
 元よりこのガレー船の主は僕では無いのだ。
 こちらへと、船が一隻だけ向かってきた。
 それを見て、フェレットらは益々訳が分からなくなる。
(向こうに戦闘の意思は無いってことか? そうだろう。そうで有ってくれ)
「あ、あの船に火薬が積んである、なんてことないですよね……。傍に来て爆発するとか……」
 リィの声にも「有り得ない」と返事することは出来なかった。
 だって、その船はあまりに不気味な外見をしている。
 他の船とは違い、帆は赤くない。
 鉄張りの黒い船体に黒い帆、さらには髑髏の紋章まで付けられているのだ。
 普段ならばジョークとして笑い飛ばしてしまいそうな程の、不気味な外見。
「あれは”人畜無害”だ」
 意外にもそう、かおるが返答をした。
「……安全ってことですか?」
「いや、船の名前」
「そうなんですか……」
 誰かの船と似たネーミングセンスだと、リィは思った。
 緊張感をいきなり寸断されて、妙な気持ちのまま、そのフリゲート船の来訪を迎えることとなる。
 攻撃を仕掛けてくる様子もない。
 フリゲートは”永久機関”の間近までやって来て、そして止まった。
 ここまで近付けば、さすがに向こうの船員達の影も目に入る。
 数は間違いなくこちらよりも多く、そして皆こちらのことを見ていた。
 攻撃もしないし、声を掛けてくる訳でもない。
 何をしているのかと思えば、やがて船から船へ小さな橋が掛けられた。
 ”永久機関”から起こしたリアクションではない。
「渡って来いってことかよ……」
 フェレットが呟き、足を一歩前へと進めた瞬間。
「用が有るのは一人だけだ。後の奴等はそこに留まってろ。少しでも変な素振りを見せたら撃つ」
 そんな声が響いてきた。
 思わず、宙に上げた左足が浮かんだまま、そこで停止する。
「さぁ、来いよ」
 再び届いてくる、男の声。
 それは、リィには聞き覚えのあるものだった。
 声もそうだが、ぼんやりと見えている姿もだ。
(あれは確か、アスナさんと一緒に居た……クライドさんだわ。かおるさんの過去の話にも出てきた)
 海賊団にかおるさんを連れ戻したのもあの人のはず。
 油断は出来ないけれど、しかしいきなり殺し合いが始まることは無いだろう。
「じゃ行って来る」
 かおるはぽつりとそう言って、タラップを渡り始めた。
「ちょっと、かおるさん!」
 フェレットを始めとした、船員達の声が一斉に放たれる。
 しかしそれは、彼の足を止める程の力を持ったものではなかった。
「本当に知らねえぞ! もう」
 フェレットとしてもそう吐き棄てるしかない。
 動けば銃で撃たれるとあっては、さすがに何も出来なかった。
「仕方無い、僕らはこの場で制止だ。とりあえず遺言は今の内に考えとけ! 辺りに居る海洋生物どもに、胸を張って聞かせるつもりでな!」
 更にやけくそになってそう叫ぶ。
 にしてもこの状況――針の筵の上に立たされている気分だ。
 前方にいる多数の戦闘艦。
 どれか一つでも砲弾を浴びせてきたら、即座にお陀仏だろう。
(何とかして、かおるさん。本当に頼むから)
 そしてこの状況においても、結局はあの無謀極まりない男のことを頼るしか出来ない自分に、フェレットは憤りとやりきれなさを覚えるのだった。

5

 かつてメルキオール海賊団の双璧と呼ばれた二人の男。
 今、戦士の顔をして再び顔を遭わす。
「久しぶりだな」
 クライドの声に、かおるは何も返さなかった。
 表情は透明色。
 しかしきっかけが有れば箍が外れ、そこから感情が溢れ出るだろう。
「知ってるか。マー坊達が死んだのを」
 そう声を吐きながら、つかつかと歩いて来る。
 そのまま襲い掛かるつもりなのだと、そう判断した船員達が二人の間に割って入った。
 邪魔だ、とそう言わんばかりに。
 船員の内一人の顔面に、かおるは迷うことなく拳を叩き込んだ。
 地面に崩れてのた打ち回る船員。
 それを見て、さらに三、四人がかおるのことを囲んだ。
「どけ」
「出来ません。貴方の頼みで有ろうとも」
 船員の一人は言った。
 この船の名は”人畜無害”――かおるが海賊団に居た際に使用していた船。
 船員達とも顔見知りなのだ。
「この船の水夫じゃなければ、殺してる。しかしこれ以上行く手を遮るなら、殺す」
「おいおい。てめぇは本当に狂犬みてぇな奴だな」
 クライドはわざとらしく、茶化すような口調で言った。
「お前ら、どいてやれ。ちゃんと話してやるから、その代わりてめえも少しはじっとしてろ」
 その指示で、かおるの包囲は解かれた。
「ガキ共はみんな死んだか?」
「アスナは無事だ。だが後は死んだ」
「そうか」
「知らなかったのか」
「手を下したのはこの船団の奴じゃねぇからなぁ」
「メルキオールの差し金だろう!」
 かおるは激昂した。
 しかしクライドは動じることなく、それどころか笑みさえ浮かべている。
「『何故殺した』。そう訊きたいんだろう?」
 大サービスだ、話してやる。
 かおるの表情を見下すようにしながら、クライドはそう続けた。
「要するに俺は、お前とガキ共の監視役だったって訳よ。今まで気付いて無かったとは相当間抜けな野郎だな、テメェも」
「何だと……」
「メルキオールはお前の力を何より欲しがっていた。以前お前がいなくなった時も、メルキオールは俺達に『命に代えてでも探して来い』と言った。だが、結局見つからなかった。数年も経ってベルゲンで遭ったのは本当にたまたまだったからな」
 そしてかおるが再びメルキオールの元に帰って来た時……その喜びようは、大変なものだった。
 その声はただ淡々と事実を語るのみ。
 薄ら笑いも消え、クライドは語り手のように話を続けた。
「だが、テメェはもうすっかりあのガキ共に骨抜きにされちまってやがる。だからあのガキ共を飼って置くことにしたってワケだ。お前がそれで海賊を続けてくれんなら、仕方無えってな」
「なら、何故……」
「元々それはメルキオールにとっても本意じゃなかったからな。我慢の限界が来たって所だろう。俺もそう詳しくは知らん、後は本人に訊くんだな」
「お前は知っていたのか? メルキオールが子供達を殺そうとしていたことを」
「ああ。まあしょうがねぇと、そう思ってたぜ。あんな薄汚ねぇガキ共が死んだところで、世の中何も変わらんからな」
「そうか。残念だ」
 かおるは剣を翳した。
 クライドも腰から獲物を抜き、同じように翳す。
 海賊団の双璧――”海狼”と”黒き虎”。
 剣を交えるのはこれが最初で、そして最後になるだろう。
「クライド様……」
「てめぇらは黙ってろ」
 船員達を制し、そして一対一の勝負に臨む。
 隙を窺いつつ、二人はその場で構えている。
「お前はヒゲの生え方以外はまともな奴だと思っていた」
「変人にまともと思われてても、何も嬉しくねぇな」
 びゅうと、風が吹いた。
 それは目に見えないほどの量の砂を運び、そしてそれが二人の間の空 間に少しだけ流れた。
 合図を受け、二人は疾る。
 二つの光が夜の空間を切り裂き――勝負は、その一瞬でついた。
 船団の帆よりも鮮やかな赤が飛沫となって舞い散る。
 倒れたのは――クライドだ。
 かおるは剣を鞘へとしまい、そしてクライドのことを見下ろした。
「子供達はお前のことも好きだったよ。何故こんなことになった?」
「海賊が、人を殺すのに、何故もクソも無えだろう」
 げほ、とクライドは血を吐いた。
 身体が二つに裂けかねない程の傷を負っている。
「お前は、あの子達のことを……」
 かおるの表情に、悲しみの色が混じった。
 眼の前に居るこの男の死が悲しいのではない。
 あの子供達と過ごした日々、その内の三分の一位だろうか――子供達と一緒に、クライドはいた。
 子供達も最初は恐がったがやがて受け入れ、そして仲の良い友人となった、はずだった。
 あの幸せの光景の中に、僅かでも偽りの色が雑じっていたことが悲しくてならなかった。
「かおる船長」
 物音がしなくなった空間に、か細い声が響いた。
 本来はそうでないのだけれど、躊躇いがちに発した為そうなったのだ。
 かおるが振り返ると、そこには一人の船員が立っていた。
 この船の副官を務める男で、かおるもよく知っている人物だ。
「クライド様は、ずっとメルキオール様の行動を止めようとしていました。子供を殺す理由など何も無いと」
「何?」
「しかし無理だったのです。メルキオール様は全く聞き入れようとせず……結局この船の面々とクライド様の耳には入れずに、手を下してしまったのです。クライド様は出来る限りの尽力をされました。しかし一人ではどうにもならなかったのです……」
「HIGE」
 かおるの表情に、焦りの色が浮かんだ。
 それを見て、クライドはくっくっと笑う。
 血を吐きながら、さも可笑しそうに笑っていた。
「らしくねぇ、顔してやがるぜ」
「何故黙っていた!」
「それが俺に出来る償いだったからよ」
 かおるのほうを見ていたその黒い瞳が、空へと向けられた。
 上空はただ黒いだけ、何も見えない。
 いや……点々と、白色が浮かんでいる。
 それは雲ではなかった。
 目が開けられなくなる程、眩い白色だった。
「悪役に徹して死んだほうが、楽だってのも……有るしな。『実は良い人でした』なんつわれても、お前も反応に困るだろうよ。……あのガキ共もな」
「アスナに伝えることはあるか」
 命の灯火はじき消えるだろう。
 最早してやれることは他にないと判断し、かおるは訊ねた。
 しかし、言葉は返ってこない。
「HIGE!」
「ああ。ちっと考えたが、別に何も無ぇ。あれはもう、十分大人だし、何も言わんでもやってけるだろうよ」
 それより。
 そう挟んで、クライドは続けた。
「テメェは大問題だ。言いたいことが有り過ぎて、死んでも死にきれん。……だからテメエには言っとく」
 まるで砂時計が落ちるかのように、黒を少しずつ染めていく真逆の白。
 白――?
 違う、それは光だ。
 段々とその割合が増えていく。
 やがて全てが光に覆われて……終わるのだろう、それで。
 クライドは実感した。
 もう直ぐそこに、死がやって来ているということを。
「……あのガキ共のことを想うなら、テメェは生きてやれ。この先ずっと……生きて生きて、生き続けろ」
「俺がHIGEの後追い自殺をするとでも思っているのか?」
「この後、奥に向かうならば、そうなる。だから、止めておけ。……メルキオールの……この海賊団のことは全て忘れて、別の所で生き続けろ」
 声が段々と擦れていく。
 聞き取り辛い質のものになっても、全ては真っ直ぐに耳へと伝わってきた。
「ガキ共の、仇討ちなんぞ、考えるな。殺、される、だけだ」
「無理な注文だ」
「テメェって奴は。まぁ、素直にはいと言われても、気持ち悪い、がな……」
 息も絶え絶えになりながら、クライドは呆れ顔を作ってみせた。
「ふ、ははは」
 そうして笑う。
 心から楽しそうにして。
「お互い……堕ちたもん、だな。人殺しが仕事、のはずの、俺達が……あんなガキどもの、為によ」
「HIGE」
「……悪くねぇ、か。それも」
「おい、HIGE!」
 かおるは再び彼のことを呼んだ。
 しかし返事は無い。
 二度ともう、言葉を言わないだろう。
 身体も動かないだろう。
 彼はもう、光に呑み込まれてしまった。
「かおる船長。私達は貴方に従います」
「連れて行ってくれ。メルキオールの元へ」
 ”人畜無害”の船員達にそう伝える。
 その意思は、微塵も揺らぐことがなかった。
(すまんな、HIGE)
 しかしお前の心配は杞憂に終わるだろう。
 俺が、この手で何もかもを終わらせてくる。
 全ての原因はこの手に有るのだから、俺がやらなければいけない。
「……いや、船長」
 船員の一人が驚愕の声を吐いて、前方を指差した。
 その先から迫り来るのは巨大な海の要塞。
 全長約六十メートルは有るだろうガレアス船だ。
 動きこそ素早くないが、こと火力においてこの船の右に出るものはいない。
 前方に取り付けられた巨大な衝角(ラム)の一撃をまともに浴びれば、大抵の船は木っ端微塵だろう。
 あのガレアス船の名は”ルーレライ”。
 他ならぬこの海賊団の首領、メルキオールの乗る船。
 配下の船を留めて置き、自ら出向いてきたその真意は?
「同じと言うことか。奴も」
 そうだ、昔からどんなことでも、自らの思い通りにならなければ気が済まない奴だった。
 いい加減、結末の一ページをめくることを待ちきれなくなったのだろう。
 そこに描かれているのが何か――誰が死し、誰がそこに立っているのかを、確かめたくなったのだろう。
 ”ルーレライ”もまた眼前まで迫り、そして立ち止まる。
「来い」
 メルキオールの声だ。
 それに誘われるようにして、かおるは再び歩き出す。
「私達はどちらの手助けをすることも出来ません。どうぞ、ご無事で」
 副官の男の言葉。
 今、かおるは彼らに対して完全に背を向けていた。
 後ろから撃とうと思えば、簡単にやれただろう。
 ”人畜無害”は決して長い付き合いをした船ではない。
 一度海賊団を抜け、数年の時を経て戻ってきてから乗ることになった船だ。
 だから、この船の水夫達ともそう親しい仲には無い。
「ああ」
 それなのに、まるで長きを暮らした家から出て行くかのような寂しさを感じる。
「そっちもまぁ、テキトーに頑張れ」
 たった一年足らずでも、海に出る時はいつだって一緒にいた仲間だ。
 俺のテキトーな命令にも、時にはぶつくさ言いつつも、ちゃんと従ってくれた。
 付き合いが短くとも、彼らは確かに仲間だったろう。
 かおるは自分の心に向け、そう訂正をした。
 ”ルーレライ”から伸びて来ている架け橋を渡ると、そこには百人を超す海賊達が武器を持ち、待ち構えていた。
 かおるの場所から最も遠い位置に、この海賊団の首領はいる。
 暗闇のせいもあって、声は聞こえても表情は見えなかった。
 声だけではない。
 エメラルドの波よりも高い音色が、場に響き渡ったのが聞こえた。
 それは、メルキオールが指を鳴らした音だ。
 合図を受けるや否や、船内を埋め尽くしていた海賊達が一斉に襲い掛かってきた。
 剣、槍、斧。
 それぞれの武器を振り翳し、四方八方から、ばらばらに。
「下らん趣向だ!」
 最も早く到達したのは、三人の海賊。
 かおるの剣は閃光と化し、それらを全て一太刀の下に切り落とした。
「生憎、俺はこの船の水夫をろくに知らん。容赦は出来んぞ」
 冷たく言い放つも、その声を聞き取れたのはたった数人だっただろう。
 関係無く、海賊はかおるの腕を掴もうとし、足を千切ろうとする。
(邪魔だ……)
 纏わり付いてくる魍魎どもの体を、まるで風を割るかのように引き裂いていった。
 圧倒的劣勢のこの修羅場において、冷静さと獰猛さを併せ持った剣技でもって、全てを砕いていく。
(何と虚しき事をしている。自分は!)
 腕を飛ばし、首を叩き潰しながら、かおるは思った。

6

 孤独な闘いが始まってからずっとの間。
 ”永久機関”にいる面々は、その惨状をただ眺めていることしか出来なかった。
 かおるは元々あの海賊団の一員であった。
 だからこそああやって奥へ進むことが出来たのだが、自分達はそうはいかないだろう。
 下手な行動を取れば、直ぐに集中砲火を浴びて沈められてしまうはずだ。
 その証拠に、こちらを牽制するかのようにして、三隻のフリゲート船が周囲を徘徊していた。
 かおるが渡っていったあのガレアスまでの距離は、そう遠くない。
 地獄と見紛いかねない狂気の声も、全て届いてきていた。
「何っ?」
 勢いよく、こちらに飛んでくるものがあった。
 それは誰にも当たらず、丁度リィが立っている付近の地面に激突し、転がった。
「あ……いやあっ!」
 リィは吐き気を催して、思わず右手で口を覆った。
 あのガレアス船から落ちてきたそれは、人の上半身だったのだ。
「まだ……二つ三つ、飛んできそうな勢いでやすぜ……」
 船員の一人が戦慄に彩られた声でそう呟く。
 馴染み親しんだ人間でさえ、あの場で死闘を繰り広げるかおるを見て、恐怖を覚えることしか出来ずにいた。
 助けに行くことが出来ない自分達の不甲斐無さを呪うより前に、ただ「恐い」としか思えずにいたのだ。
「化け物、ですぜ。あれで勝っちまったら」
 今まではその化け物という単語も、幾らか冗談めいた含みをもって響いていた。
 しかし今は違う。
 彼が何処か別の場所に行ってしまうような……行ってしまったような、そんな気がしてならなかった。
「リィ、平気か」
 口を押さえて蹲ったままのリィの背中に、フェレットが優しく触れた。
 しかしリィは返事を返せない。
 仕方無く彼女の身体に触れたままで、フェレットは再びあの喧騒へと目を向けた。
 暗闇に閉ざされていてよく見えないけれど……絶えず、何かが飛び散っている。
 それは血か、肉片か。どちらもだろう。
(……目を背けるな)
 幾つもの思い出の中で、彼が口にしてきた間の抜けた――大好きだった台詞の数々。
 その何もかもが、当て嵌まらない……今のあの人には。
(目を背けるな!)
 全身を震わせるその感情を、フェレットは強引に抑え込んだ。
(あれが、あの人だ。受け入れるんだ!)
 彼がたとえ猛獣であろうと、修羅であろうと。
 仲間である事実が揺らぐ理由にはならないだろう!
 自らの心を両の手で強く握り締め、何もかもを吐き出すかのようにしてそう叫び、言い聞かせた。

 船を浸す紅の海は、さっきまでそこにあった嵐が残していったもの。
 或いは嵐を熾したのは、彼の手に握られているその剣だとも言える。
「満足か、これで」
 羽織っている黄土色のドルマンも、黒色のトルコ帽も全て、ただ一色に染め上げられている。
「別に。当然無事でいるだろうと思っていたからな」
 この場にいるのは、たった二人だけ。
 海賊団の主メルキオールと、かつてその部下であった男。
 彼ら二人の周りに有るのは、躯、躯、骸。
「クライドでさえも、倒してきたか。なら当然俺のことも殺す気なんだろうな」
「そうする理由が有る。そしてその理由を生み出したのは貴様だ」
「俺にも、あの子供達を殺す理由があった。利害と利害が対立するならば、対決も止むを得ないと言う所か」
「言ってみろ。理由を」
「指図するな。俺に」
 ぎん、と視線が絡む。
 激しい剣戟が響いたかのようになって、その後暫定的な静寂が戻る。
「かおるよ」
「何だ?」
「俺をどのような人間だと思っている」
「ようわからんヤツだと思ってる」
「それだけで済ますとはな」
 玲瓏な声で、メルキオールは笑った。
 こんな場所にいなければ、誰もがこの人物のことを海賊などとは思わないだろう。
 美しく整った顔立ちをした、中性的な雰囲気をした海賊。
 比類する人物は、恐らくこの海にはいない。
「彼らは関わり過ぎたんだよ。俺とお前にな」
 メルキオールは言った。
「俺がどれだけお前の事を欲していたか解るか?」
 美しき青年の容貌――その瞳に、僅かな色が混じる。
「お前がいて、クライドや他の奴らがいて、そして俺達は様々な海を進んでいた。充実した時間だったよ」
「別に」
「それを奪ったのは、あの子達だ。俺がお前から大切なものを奪ったように……な。そう言えば、俺の気持ちが解るだろう?」
「ヌヘッ」
 かおるは憮然とした表情をしたまま、理解不能な言語で吐き棄てた。
「そもそも俺がいなければ、あの大火に包まれて子供達は死んでいた。今更もう一度死んだところで、少しでも長生き出来たんだ。満足だったろうよ」
 そこまで言い、メルキオールは一端言葉を区切る。
 一瞬の静寂を挟み、再び口を開いた。
「もっとも……あの時にしても、あの子達がお前にとって大事な人間だと聞かされたから生かしてやったまでだ。……お前の為に生かしてやったんだよ。そのことを忘れて刃を向けるとは、お前も恩知らず極まりない男だな」
「メルキオール」
「何?」
「俺の中に、お前の描かれた絵は無いよ」
 相手の言葉の拍子を崩すかのようにして、かおるは言った。
 その言葉は、メルキオールの眉を僅かに動かさせた。
「あの子らと出逢って無くなったんじゃない。最初から無かったんだ」
 ずっと、白だけで満たされていた。
 何も描かれていなかったその絵……キャンバス、か。
 メルキオール、クライドと共に過ごした日々も、そこには何をも添えてくれなかった。
 白が白であることを、ただ強調しただけだった。
 彩りを加えてくれたのは、子供達。
 見たことの無い様々な色を塗ってくれた。
 乱雑なようでいて、しかしこの世のものとは思えない程に素敵な絵を描いてくれた。
 それまでこの世界はただ白一色だと思っていたけれど、そうでないことを知った。
「確かにHIGEは良い奴だった……お前もな。だが、俺はここで充実を感じたことは一時たりとも無かった」
 かおるはそこで言葉を切った。
 さっき、メルキオールがそうしたように。
「全てはお前の勘違いだ」
 その言葉が刃よりも鋭いものだと知りつつ、そう口にした。
「そうか」
 それでもまだ、メルキオールは平静を保っている。
 保っているように見えた。
「子供、達が死ねば。選択肢を取り去ってしまえば、お前は俺達を、俺を選んでくれると思っていた」
 けれど、溢れ出てくる。
 感情が徐々に声に乗っていく。
「……最初から、俺のことは歯牙にも掛けていなかった、という訳か」
「まあそうなる」
「なら、ば」
 その感情は、ついにその体をも動かした。
 ひゅん、と風を切る音が鳴り。
「今ここでッ、選択肢に加えてやる!」
 一瞬で、メルキオールはかおるの位置まで迫った。
 その手に持った剣が、朱に染まった剣とぶつかり合う。
「有無を言わさず服従させてやるよ! あのガキ共の記憶も何もかも……朱一色に塗り潰してやる! この俺が!」
 感情の爆発。
 かおるはそれを真っ向から受けて立った。
「手加減出来んよ」
 言葉通りの、相手の受け辛い部位を狙っての攻撃。
 しかしメルキオールはそれを軽々と捌いて見せる。
「――たとえ女であっても、な」

 戦いは、それから数時間も続いた。
 百合では足りぬほどに撃ち合い、まず先に、メルキオールの持っていた小剣がぽきりと折れた。
 その隙を狙って攻撃を繰り出すが、すんでのところでかわされる。
 地に落ちていた新たな剣を拾い、再び剣戟を響かせる。
 それは獣の牙と牙のぶつかり合いだ。
 全てが必殺の攻撃を互いに弾き合う、その時間が続く内。
 メルキオールは、思った。と言うよりも、改めて再認識をしたのだ。
 この男はどうあっても、誰かのものになるような男ではないと。
 肉体が死しても、魂が断固として拒否するだろう。
 そんな奴だからこそ、惹かれた。
(俺とあいつが混ざり合うことはない、か。ならば)
 考えていられる分だけ、メルキオールには余力があったと言っても良いだろう。
 怒りに身を震わせていても、彼女はまだ理知的な部分を使用して剣の駆け引きをしていた。
「さすが、俺が惚れ込んだ男だけある」
 かおるの攻撃をかわすと同時に、小さく呟くように言った。
 そして、にやと笑った。
 笑って見せたのだ。
 俺の力はまだまだこんなものではないと、誇示するようにして。
 それはかおるには出来ない芸当だった。
 いや、凡百の敵が相手なら、彼でもこなせただろう。
 しかしこの戦いは違った。
「ヌッ!」
 いよいよ、メルキオールの突きがかおるの肩を掠った。
 攻撃のスピードはさっきまでと変わりない。
 しかし、そこにまた別の力が乗り始めていた。
 かおるの攻撃は、依然として当たらない。
「ならばせめて、俺が惚れ込んだ……そのかいというものを見せてみろ!」
 隠していた力――それは凶暴性、だ。
 かおるの剣を正確に薙ぎ払い、メルキオールはかおるの脇腹を突き刺した。
 致命傷には至らなかったが、さすがにかおるの顔にも驚愕の色が浮かんだ。
(強い!)
 まともに剣を交えたことは一度たりとも無かったが、まさかここまでの使い手だとは思わなかった。
 ……さっき、HIGEは手加減をした。
 奴が本気で戦えば、間違いなく勝負は長引いたはず。
 だがこいつは間違いなく――俺よりも、HIGEよりも上。
(ッつーか)
 自らの力がこれで全てかと問えば、そうではないと答えるだろう。
 しかし。
(眠……。腹減った。無理)
 ほんの僅かだが、かおるはそう言い訳をした。
 瞬間、メルキオールの拳が彼の左頬を捉える。
「ぐはっ!」
 剣を持っていないほうの手で殴られた。
 そんな屈辱を感じている暇もない。
 吹き飛ばされた先には、もう地面は存在していなかった。
 何時の間にか、ぎりぎりの所まで追い詰められていたのだ。
「ぬおぁッ!」
 ”ルーレライ”から弾き出され、かおるは海面へと落下した――かに見えた。
 が。
 ぎりぎりの所まで寄り添って来ていたフリゲート船”人畜無害”の船体が、そこにはあった。
 かおるは海に落ちることなく、そのままかつて自らの家であった船へと突っ込んだ。
 だが、それだけではない。
「あの、野郎……っ!」
 船上で感情を昂ぶらせるメルキオール。
 その顔に、大きな傷跡が出来ていた。
 船から落とされた瞬間にかおるが放り投げた――或いは単にすっぽ抜けた剣が、その頬を掠っていったのだ。
 ぽた、ぽたと地面に垂れるその血を、メルキオールは自分のものだと信じられないようだった。
 右手で頬を擦り、改めて赤い液体を目にして、しかし彼女は笑った。
「そう……だ。こうでなければな! 俺の目は節穴では無かったと言うことか!」
 自らの予想を超える力を持つものは、今まで一人としていなかった。
 ただ一人、あの男を除いては、だ。
 しかしその力はもう、自分の為には揮われない。
 それが残念でならなかった。
「お前達ッ!」
 メルキオールは叫んだ。
 ”ルーレライ”にはもう船員はいない。
 だから、他の船へと向けられた言葉だ。
「帆の赤くない船は全て沈めろ! あのガレー船とフリゲートだ!」
 指示を下すや否や、沈黙を守っていた赤色が、前へと進み始める。
 元より深く入り込んだ位置にいたフリゲート船”人畜無害”には、瞬く間に数十の砲弾が撃ち込まれた。

「かおるさん! かおるさん!」
 ”永久機関”から、フェレットが、船員達が悲痛な声を上げた。
 そう言っている間にもかおるが落ちていったフリゲート船には、さらに追加の砲弾が叩き込まれている。
「フェレットさん! どうすれば……」
 船員達は皆、フェレットに意見を求める。
 そう言われても、この場で即座に結論を出すには、あまりに両天秤に掛けているものが重過ぎた。
 ”永久機関”にも危険が迫りつつあることは、知っている。
 今は直ぐ近くに居る”人畜無害”がブラインドとなって、攻撃が届いてこないだけのことだ。
 あの船がやられれば……次の標的はこっちだ。
 そして今の状態では、下手をすれば一時間と持たずに沈没させられかねない。
(くそ!)
 フェレットは唇を強く噛んだ。
「退くぞ! 死ぬ気で退け!」
「フェレさん、かおるさんは!」
 リィが泣き叫ぶようにして言う。
 フェレットの唇から、血が溢れた。
 涙のように、ぽたぽたと地面に落ちた。
「かおるさんはなぁっ、僕らの想像もつかないスーパーマンなんだよ!
 だから絶対に生きて帰る!」
 この状況で、その言葉に確信はない。
「けど、僕らは違うだろう! ただの人間だから銃で撃たれれば死ぬだろう! 逃げないと話にならないだろう……!」
 しかしそう言い聞かせるしかなかった。
 何よりも、自らの心に。
 命令通り、ガレー船は後退を始めた。
 船員達は皆、むせび泣いていた。
 幸い、敵の追撃はなかった。
 その代わり全ての攻撃はフリゲート船へと集中し――最後に”永久機関”から辛うじてその姿を目にした時、それは半ば鉄屑と化していた。
「元々、てめぇらの仲間だった船だろう! これだから海賊ってのは……! 僕は百回生まれ変わっても、一回足りとも海賊なんかやらないからな!」
 去り行く光景に向け、フェレットはありったけの文句を放って棄てた。
 彼もまた、涙を流しながら。

 役者が退いた後の”ルーレライ”に、たった一人の女性が残されている。
 眼前に有る、既にその殆どが海中へと沈んでいるフリゲートを見て、その唇は無感情に笑った。
 彼女はそうして、独白を続ける。
「俺が見込んだ男なら、生きて見せろ」
 浅黒き肌をした貴公子メルキオール。
 やがてインド洋からアフリカにかけて一大勢力を築き上げた後、全権を部下へと譲り、名を変えて一人の女性として生涯を過ごしたと言う。
「これからもずっと、な。時がお前を殺すまで――」
 かおるとメルキオール。
 今後の時において、この二人が関わることはもう、無い。


「海賊の姿が見えない位まで離れた所で、三時間程待ったっけね。まるで亀か何かみたいに、人間が泳いで来たのを目にした時はショック死するかと思った。あぁ、海にはまだまだ未知がたくさん有るんだなって、そう思ったよ」
 ”永久機関”に乗っていた人間達はその時のことを振り返り、口々にそう語った。
 「かおるさんは絶対に帰ってくる」と言い続けていたフェレットでさえ、その光景を見た時に発した言葉は「あれは幽霊だ。逃げよう」だった。
 何もかも、冗談のような出来事だったのだ。
 ルアンダから出港して……それからの数日間は全て夢の中で起きたこと。
 そう処理してしまっても何の問題もないと、フェレットは思った。
 だが、かおるに取っては違うだろう。
 傷が癒えて、そして彼はあの家があった場所を訪れた。
 フェレットらもだ。
 ただ風だけが吹く荒野――家は有ったけれど、その中に有るはずの何もかもはもう無い。
 そこから少し進み、一本の大木が生えていたはずの場所まで行くと。
 殆ど丸太をそのまま使ったような簡素な墓が三つだけ、そこには有った。
 アイとアスナが協力して建てたのだと言う。
 かおるはそれを目にすると、しばしの間固まった。
 その少し後ろにはフェレットとアイ、リィ、それにアスナがいて。
 何も言わず、ただその光景に収まっていた。
「ありがとう」
 万感の想いを込めて、かおるは言葉を風に乗せた。
 何もかも、大切なものは全てこの子達に貰った。
 けれど、俺は彼らに償いをしなければいけない。
 そもそも出逢わなければ……この子達の人生を狂わすようなことも、なかったのだから。
(セルマ、マテウス。ミケ)
 かおるは語りかけた。
 光の中に吸い込まれていった――天に召された最愛の子供達に。
(今はまだ、留まれない。これから生きて生きて生き続けて……死ぬ時になったら、またここに戻って来ようと思う)
 旅の終着点はやはりこの地にしよう。
 そして一緒に眠ろう。
 この地で、永遠に。
 そう誓うと、彼の思考は天から降りてきて、背後へと向けられた。
「アスナは……乗れるか。船に」
「私……うん。ちょっと、恐いけど」
 かつて海賊に襲われた際のイメージが焼き付いており、子供達は皆海を恐がるようになった。
「……セルマ達は、あの時まだ赤子だったから……体がそのことを覚えちゃって、本当に体の全てが海を拒否していたわ。けど、私はみんなより大きかったから。多分平気だと思う」
「そうか」
「うん」
「ねえ、かおるさん」
 二人の会話に、口を挟んだのはアイだ。
 けれどその全ての言葉が、まるで風の一部と化したかのように滑らかだった。
 風――幾つもの感情を飲み込んで、それでも我関せずと言った調子で柔らかに吹いている。
 船乗りならば、彼らに親近感を抱かないはずはないだろう。
「また一緒に行こう。かおるさん」
「うん」
 言葉はそれ以上要らなかった。
 旅は続くのだ。
 そう、この海が果てるまで。
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  1. 2005/12/31(土) 04:51:59|
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