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航海タイム

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第七章 Like a child, on the little sheep(中編)

5

 ロンドンの町にてかつての知り合いであるカリタスから受けた依頼は、死地へと赴く依頼であった。
 そうだろうと予想はついていたものの、いざ直面すると腰が引けてしまうもの。
 決断を求められ、フェレットは一人港にて、海に釣り糸を下ろしながら考え事をしていた。
 思考の船舵は行き先に迷って混乱し、やがて暗礁に乗り上げて座礁しそうになる。
 そこに”フォスベリー”の船員の一人、リィが姿を現した。
「どうしてこの場所が分かったんだ?」
「アイさんがきっと此処に居るだろうって」
 リィははにかんだ笑いを浮かべながら言った。
 隣にぺたんと座ると、何をするまでも無くその場からただ海を眺める。
「……どう決断したのか、聞きに来たってとこか」
「だとしたら、なんて答えますか?」
「さあな、迷ってるよ。まだ」
「そうだとは思いました」
 朗らかに笑んだままの彼女を見て、フェレットは僅かに肩を竦めた。
 そして一呼吸を置く。
「リィは怖くないのか。今回の依頼ってのは一歩間違ったら命を落としかねない……間違わなくても運が悪ければ死ぬかもしれない、そんな依頼なんだぜ」
「フェレさんは怖いですか?」
「ああ、怖いよ」
 隠す事無く、本音を口にした。
 彼女はもう、一人の大事な仲間だ。
 本心を隠すことは何の意味も持たない。
「僕自身が死ぬことは別に恐れない。ただ、そうなることによって色々とまだ、成し遂げてないことが出来なくなるのが怖いね。それにみんながいなくなってしまうのも怖い」
「成し遂げてないことって?」
 リィは変わらぬ口調で訊ねた。
 だが、フェレットの顔は戸惑いの色を浮かべる。
 どうして? とリィは訊かなかった。
「僕が航海を始めた理由。それは妹を捜すためなんだ」
 それはフェレットに取って、最も触れたくない話であった。
 或いは此処に居るのが彼女以外であったなら、何とかして話をはぐらかしていただろう。
「うちはイスパニアの中級貴族の出でね。父と母と、あと三つ年下の妹がいたのさ」
 穏やかな風が吹いて、地面の木の葉を舞い上げて散らす。
 それすらも、二人の視線には入ることが無かった。
 リィはただ、言葉の続きを待った。
「まあ、幸せな家庭だったと思うよ。皆仲が良かったしね」
 だが、それは永遠に続く時では無かった。
 幸福は思ったよりも遥かに短い時間で断ち切られ、悲劇が訪れた。
「今から十年も昔の話だ」
 イスパニアの貴族達を集い、船上でパーティーが催されたことがあった。
 考えれば、愚かな話だったと思う。
 フェレットはそう、まるで自身が犯した過ちであるかのように言った。
「フォスベリーよりもさらに大きな船でね。うちも一家も招かれて、僕と妹もパーティーなんてものに初めて出席をしたよ」
 初めて聞く、過去の話。
 それは悲しい響きを帯びていて、リィは口を挟むことが出来なかった。
 彼が自分から話してくれたのだけれど、本心では躊躇しているであろうことが聞いて取れた。
「その船を、海賊達が襲撃したんだ」
 数秒の沈黙の後にフェレットは呟きを口にした。
「厳重だったはずの警備は軽々と突破され、海賊は船上へと乗り込んできた。当然、貴族達は震え上がっちまって誰一人として反抗しようとしなかった。そうした所で殺されることは判ってたからね」
 ただ、僕一人を除いて。
 フェレットはそう独白した。
 彼女が傍に居るのはわかっていて、けれど独り言のように。
「僕はガキだった。海賊をバッタバッタと薙ぎ倒す、そんな英雄に憧れてるガキだったな。……だからほんの一言か二言、奴らを侮蔑するようなことを言った。怖さよりも屈辱感とか、そんなものが先にきてね」
 子供一人に何を言われた所で、海賊はいちいち腹を立てたりはしなかった。
 ただ、傍に居た妹を軽々と掴み上げ……海へと落としたのだ。
「結局、その場にあったものを全て持ち去って海賊は去って行った。犠牲者はたった一人、僕の妹だけさ」
 釣り竿を手にした両手は、その動きを半ば停止させていた。
 竿を放って、フェレットは立ち上がる。
「認めたくないだけなのかもな。僕のせいで妹がいなくなったことを。だから妹を捜すだなんて行って、今でも船旅をしてる……」
 冒険をする事に対する憧れは元々有った。
 その事件を一つのきっかけとして、フェレットは家を飛び出したのだった。
 やがて様々な仲間と出会い、この海がどんなに広大であるかを知った。
 何時しか、この海を行くことが自身に取っての全てとなったのだ。
「きっと妹はもういない。死んでるだろう。そんなこと解ってるが……だけど、確かめることもせずに死ぬのは嫌なんだ」
 しかし自身が今まで”妹を捜す”という目的を陣頭に置いて船旅をして来たかと問われれば、イエスとは言い切れない。
 旅の楽しさを知ると共に目的は段々と色褪せて、やがて見えなくなってしまった。
「それにソフィアの時みたいに……妹の時みたいに、自分の過ちで仲間を失うことが怖くて堪らないのさ。コロの時だって、僕がしっかりしてれば助けてやれたかもしれないのに」
「そんな。フェレさんはやれるだけの事をしたと思います」
「……パング君の言う通りだったかな、こりゃ。北海に来るのはよした方が良いって、そう言ってたよな、あいつは。あの時はえらそうなこと言ったけれど、寸前になってやっぱり怖くなったよ。僕は……」
 心に連なった不安を言葉として吐き出すフェレット。
 リィの声など聞こえていなかったのかもしれない。
 そこまで口にすると、場には沈黙が落ちた。
 たった数秒間だったがフェレットはそれに耐え切れず、再び口を開いた。
「リィは怖くないのか」
 フェレットは先程と同じ台詞を、再び口にした。
「怖いですよ。私も……でも」
「でも?」
「貴方程、私は失うものが無いですから。だから貴方程、死ぬことを怖いと思う理由は無いのかもしれないです」
「そんな事は無い。僕だって君と一緒だ」
「一緒?」
 今度訊ね返したのはリィの方だ。
「何処かで失くしてしまったものを探してる。死んでしまったらそれも出来なくなるだろ? 何よりそれが怖いよ。僕にとってはそれが妹で、君にとっては記憶。それだけの違いさ」
 失くしてしまったもの――フェレットの言葉を、リィは心の中で繰り返した。
「……正直、君にはあんまり戦いに関わって欲しく無かった。そう思ってたけどでも、実際に戦いになったらなったで、君はちゃんとこなせそうな気もするんだよな」
「そう……ですか?」
「君もなんとなく、解ってるんじゃないのか?」
 確かに、フェレットの言葉の意味は解らなくはなかった。
 もし海賊に襲われた際の護身の為にと、剣を手渡された時も。
 銃を手にした時もそうだった。
 頭から記憶は全て消え去っているはずなのに、その感触には確かな覚えが有ったのだ。
「僕は直接見られなかったけど、銃の腕がとんでもなかったってかおるさんが言ってたよ。あの人が言う位だから相当のものなんだろう」
 剣に関しても、間違い無く初めて武器を手にした者の力ではなかった。
「案外、僕よりも荒れ事に慣れてるのかもしれないな」
「でも……コロ君の時は、貴方の方がずっとちゃんとしてました」
「伊達に何年も船長をやってないからね」
 ははは、とフェレットは乾いた笑いを浮かべた。
「記憶はまだ戻る気配が無いのか?」
「ええ……でも」
 リィはぽつりと言った。
「自分が思ったよりか弱くない事が知れちゃって、複雑な気分です」
 そして笑った。
 フェレットも笑う。
「それでもアイさんよりはか弱いさ。君はそんなに酒が強くないからな」
 そんなことを付け加える。
 海の方を眺めたままだったフェレットは町の方へと振り向き、そしてゆっくりと歩き出した。
「そろそろ行こうか」
「……心積もりは決まったのですか?」
「とりあえず引き受ける事にした」
 その声にはまだ迷いがあるようにも思えたが……考えてみれば普段からこんなものか。
「良いんですか? 悩んでたのに、そんな簡単に決めちゃって」
 さっきまであんなに悩んでたのに、とリィは心の中だけで続けた。
「ずっと君を見てたら、ウジウジ悩んでるのがみっともなく思えてきたもんでね」
 ”ずっと君を見てたら”――言葉の意味を大袈裟に受け取り、リィは慌てて俯いた。
 幸か不幸か、フェレットは視線をこちらに向けてはいない。
 口調も平然としたものだった。
「君だけじゃない。かおるさんもアイさんも、悩み事があってもそれを自分で乗り越えることが出来る人達だからね。一緒にいると、たまに自分が恥ずかしくなるよ。パング君には『僕等は弱くない』だなんて言ったけどさ。本当はかおるさん達程、僕は強くないんじゃないかってしょっちゅう思わされる」
「そんなこと……」
「ま、今回に関しては自分で乗り越えたって事だよ。さあ行こうぜ」
「あ、はい!」
 いささかそそっかしい動作で、リィはフェレットのことを追った。

6

 翌日。
 ロンドンの港には幾多もの船が停泊していたが、一際目立つ、理路整然とした船団がある。
 フェレットらの一行とカリタスはそれをただ眺めていた。
「これが今の所の私達の戦力だな」
 カリタスはそう言い、一つ一つ船の名前と性能を説明した。
 自分達の命に関わることだ。こればかりは適当に済ますことは出来ない。
「よく整ってる」
 かおるはそう一言だが、珍しく誉め言葉を口にする。
「短期間で揃えられるものではないですね。私達の力なんて必要ない程、立派な船団だと思いますわ」
 かおるの言葉を咀嚼して、アイもまた賛辞を呈した。
「だが、これでもまだ足りんのだよ。何せ人の命が掛かってるんだ、これだけ有れば十分なんて境界は無いよ」
「確かに……」
 フェレットも慎重に頷く。
「だからこそ、君達が手伝ってくれるのは本当に助かる。君達がマスターピースになってくれることを信じてるよ」
「ジョーカーにならないと良いんですがね……」
 フェレットは引きつった笑いを浮かべながら言った。
 幾ら海戦が初では無いと言っても、その顔にある緊張の色は隠せないようだ。
「私は一度アムステルダムに行かなきゃならない。皆で行く必要は無いから、私が戻ってくるまでの間、この町で待ってて貰えるかな」
「はい」
 一行、またそれぞれに返事する。
「と言っても君達は私が呼び寄せた客人だからね。呼び出しておいて、あまり粗雑な待遇をするわけにもいかない」
「いや、そんなことは……」
「だから私が留守の間、君達の付き添い人をする人物を用意させてもらった。詳しい作戦の説明もまだだから、その辺りも彼女にお願いしようと思ってる」
 その丁寧な応対にフェレットらは感嘆の声を上げた。
 普段船上では礼儀作法とは無縁なだけに、喜びもひとしおと言うもの。
「間も無くここに来るはずなんだが……ああ、来た来た」
 カリタスの視線の先から、一人の女性がゆったりとした動作で歩いて来た。
「貴方達がカリタスさんが連れて来た御一行様ですね。私はルーファと言います。宜しくお願いします」
 ルーファと名乗ったその女性は優雅な動作で一礼をした。
 御辞儀を返すフェレットの目は無意識に輝いている。
「こちらこそ……君みたいな女性が傍にいてくれるとあれば、たとえ火の中水の中、敵船の中ってとこだよ。任せて下さい」
 つらつらと口にされた言葉を聞いて、リィとアイは揃って溜息を浮かべた。
 が、返ってきた反応はさらに斜め上を行く。
「そう言うことは実際に敵船に斬り込んで、せめて十人は殺ってから口にして欲しいわね」
 え? とフェレットは思わず声を吐いた。
 正面から突風を浴びたかのように、顔面がひしゃげている。
 一体誰の口から吐かれた言葉なのだ? とアイでさえも目を丸くしていた。
 ルーファはにこりとしてその場に立っている。
 今の言葉が彼女の口から吐かれたものだと、誰もが信じられなかった。
 フェレットは当然のように絶句している。
「貴方達には期待しています。その分、やることはちゃんとやって貰うわ」
「ま、当然の話だな」
 ルーファの声に堂々とした態度でかおるが返事をした。
(そうですよね。みんなの命が掛かっているのにふざけたことを言う、フェレさんのがおかしいですもんね)
 リィもまた、心の中でだけそんな言葉を口にするのだった。
「ハハ、まぁ、仲良くやってくれよ。それじゃ私は出かけるから」
 一行の視線が向くのすら待たず、カリタスは逃げるようにしてその場から去って行った。
「さて、それじゃ私達も行くとするかしら。貴方達には色々と話すことが有りますから」
 口にして、ルーファはにこりとする。
 フェレットも釣られて笑みを返したが、彼女の微笑みに毒々しいものを感じずにはいられなかった。
 自業自得だとは、知りつつも。

 ロンドンの港に停泊している三隻の船の元に一行はやって来た。
 最初は宿に行く気でいたのだが、ルーファがこちらの船を見たいと言い出したからだ。
「成る程、よく手入れされてる」
 フォスベリーに乗り込み、内部をじっくりと見回しながらルーファは言った。
「そりゃ、僕がいつもちゃんとしてるから」
「私達に協力したら、綺麗な船が散々なことになるかもしれないけど、いいかしら?」
 ルーファは表情一つ変えずに口にするのだった。
 彼女の年齢は見たところ自分よりも三、四つ若い。
 対等の立場で話されていることに違和感を覚えたが、この場は封じ込めることにする。
「……出来るだけ綺麗なまま保つよう努力はするよ。やれるだけのことはやらせてもらうけど」
「うん。でも、やるからには一つだけ従って欲しい作戦が有るのよね」
「それも構わないよ」
「けど、従ってもらうってことは同時に、この船の形を少し変えることになるの。それでもいい?」
「へ?」
 フェレットだけでなく、残る二船の船長達までもが顔色を曇らせる。
「それは一体どう言う……」
「ちょっとね……あるモノを付けて頂くの。そうしないと作戦が成り立たなくてね」
「あるモノって……」
 フェレットは呟くように口にしたが、
「あっ、あー! 分かった!」
 途中で突如として大きく声を上げた。
「フェレさん、分かったって何が?」
 アイはきょとんとして声を掛けたが、彼のその表情の崩れっぷりに思わず怪訝な顔をする。
 とてつもなく嫌な予感がする。
 フェレットはあからさまにそんな顔をしていた。
「あら、もう分かったの。さすが、鋭いわね」
 対するルーファもまたあからさまに意地悪な笑みを浮かべている。
「そりゃあね。気にはなってたから……なんであの時、わざわざあんなことを言ったのかね。……一応、予め言っとくけどさ」
「何かしら?」
「これから僕等が挑むクエストで、死人が出るかもしれないってこと位は解ってるけど……。でも、無駄死にする気は全く無いからね」
 無駄死にどころか、如何なる事情が有ろうとも自分だけは生き残る気でいるフェレットであった。
 死してでも何かを守ろうとするなんて、馬鹿なことだ。
 命の尊さは万物に勝るもの……少なくとも自分と、身近な人間のそれは、全てに優先して守らなければならない宝物だ。
 それが彼の持論であり、信念であった。
「カルさんが、わざわざ呼び寄せた友人に無駄死にをさせるような人間なら、私だって今ここにいないわ。それは君の方がよく知ってるんじゃないかしら?」
「それは確かに……」
 フェレットは少し虚ろな表情になって、その視線を宙に泳がせた。
「しかし……どうも……アレを船に付けるのは。……ほら、景観とか色々あるし……」
 いきなり独り言のようにぶつぶつと漏らし出したフェレットを見て、一行は益々訳がわからなくなる。
 ただ一人アイだけは、彼の言葉の意味を何となく理解したようだ。
 かおるもかおるで、本当は早々に気付いていたのかもしれない――単に言葉と表情に表れていないだけのことで。
「よくお解りなのね。それじゃ、早速行くとしましょうか」
 フェレットが悩んでいるその様子がおかしいのか、ルーファは含み笑いを浮かべながら言った。
「行くって、何処へですか?」
 未だに全く理解っていないリィが訊ねる。
「付いて来れば解るわ」
 ルーファはそれだけしか言わなかった。
 それなのに次の瞬間、リィ以外の面々は皆ルーファと足取りを同じにして、同じ方向へと歩き出すのだった。
 リィとしても彼らに付いて行くことしか思い浮かばず、不安げな様子を足元に滲ませながら、後を追った。

 そして、到着した場所は造船所。

7

 フォスベリー、永久機関、そしてシャルトリューズ。
 三隻の船はこのミッションの間だけカリタスの指揮下に入ることとなり。
 一つの”戦力”を持った船団は、北海をまた北へ行く。
 敵の戦力は未だはっきりしてはいないが、カリタス曰く間違い無くこちらより上であるとのこと。
 元々目的は敵の殲滅ではなく、ただ任務を遂行する為だけなら、必ずしも戦力を用意する必要はない。
 だが理想とする所はまた違う。
 そしてそのカリタスの理想を実現させるべく、フェレットやかおる達は今、ここにいる。
 それが彼らに取って本意なのかはわからないが、結果としてそうなった。
 途中幾つかの街により補給をしながら陸に沿って航行をし、目指す目的地もやがて近付いてきた。
 海賊達が人質交換に選んだその場所とは――スカンジナビア半島より東の内海、バルト海に浮かぶ”神の島”の周辺の海域。
「そんなご大層な名前を付けられた島があの辺りになったなんてね。僕も知らなかったな」
 フェレットは”フォスベリー”から遥か先の海を眺めている。
神の島はまだまだ視界には入ってこない。
「私もです。そんな名前がついてるなんて、不思議というか……ロマンチックですね」
 リィは至って真面目な表情で口にした。
 それが逆におかしくて、フェレットはぷっと吹き出して、あははと笑った。
「ロマンチックかい? 神の島が? まあそりゃ、今まで僕らが辿ってきた砂漠やらに比べればよっぽどロマンチックかもしれないけどさ!」
「ちょっと、笑わないで下さい!」
「まぁもし、無事に帰ってこれたら観光にでも行くとしようよ」
 真面目になったり怒ったりと忙しいリィだったが、その表情をほんの少し沈ませるのだった。
 彼女をそうさせたのはフェレットの言葉だ。
「どうした?」
「無事に帰ってこれたら、なんて言わないで下さい。そう言うのって普通、物語の最後のほうで口にされる言葉でしょう?」
「リィ……」
 殆ど意識せずに口にした言葉だった。
 それなのに、彼女がこんなに真剣になるなんて。
 フェレットは面食らった後、真面目な表情に戻る。
「私まだ、フェレさんと出会ってから半年と経ってないんですから。まだ記憶も取り戻してないし……まだ何も、全部これからなんです。だから……必ず無事に帰ってきましょう。帰って来てそれで、神の島を見に行きましょうよ」
 船長達と出会ってから、でなく、船長と出会ってから、か?
 他の船員は話を聞いていてそう思った。
 そこには暗い感情は一片すらもない。
 ただ微笑ましいと感じながら話を聞いていた。
「ああ、約束するよ。必ず帰るってね。僕は誰かに殺されるのと溺死だけはしないって決めてるんだ」
「贅沢ですね。じゃあ、どんな死に方なら良いって……?」
 リィは少し嫌な予感がしつつも一応訊ねてみた。
「チーズケーキを食べ過ぎて死ぬのが良いかな」
 そんな答えを口にしたフェレットだったが、こちらに向いている視線が少しだけ冷たくなったのを器用に感じ取って。
「いや、食べ過ぎってのも結構辛いもんだからな、アレで……。そうだな、じゃあちょっとまともに答えさせてもらおう」
 最初からまともに答えれば、とリィの目は言っている。
 しかし悪戯好きなフェレットのこと。
 またも一言、妙な言葉を口にした。
 今度はリィ以外の全船員の視線が冷たくなる。
 いっそ海中に沈んだ方がまだ暖かいだろうと思う程の、冷気を湛えた視線が八方から注がれている。
「ふく? ふくじょうし? ってなんですか?」
 無垢な様子で口にするリィを見て、フェレットは自分がとてつもない犯罪を犯しているような気分になった。
「ん……まぁつまり、幸福を味わっている最中に死ぬってことさ。素晴らしいことだと思わないか?」
「それをふくじょうしって言うんですか……?」
「ああ。つまりはね」
 フェレットは間髪を入れずに断言した。
「さて、そろそろかな。ちゃんと準備しとかないとね」
 視線を再び海に向け、会話はもう終わった、と言わんばかりにそちらのほうだけを見ている。
 賢明な判断だ、と船員達は思ったことだろう。
(リィの言う事も一理あるな)
 何もかも、全てはこれから、か。
 それは彼女だけじゃない。僕だってそうなのだ。
 この海に、海の先に在る世界に、残してきたものは限りなくある。
 その中でも幾つか……放って置いてはいけないものを捨て置いて、自分は今ここに居る。
(……っても、気を抜いたら皆殺しにされかねないからな。僕らがやることは作戦をちゃんとこなすこと。それだけだ)
 そして運が味方をしてくれたなら、きっと誰もが無事で帰ってくることが出来る。
 何事を行うにも、間違い無く運の要素は関わってくる。
 その点に関しては、フェレットを始めとする船団の面々は皆多少の自信を持っているのだった。

 同時刻。
 カリタスの駆る船”オールド・ブラック・マジック”でもまた、戦場に赴く者達の会話が繰り広げられている。
 ”嵐の前の静けさ”――そんな言葉を誰もが思い浮かべるほど、風は 不気味なまでに穏やかだった。
「よう、ルーファ。心配で様子を見に来たのか?」
「当然です。貴方が失敗したら私の命も無くなるんですから」
「まぁね」
 カリタスはその表情に静かな笑みを湛えた。
「で、どうなのです? 勝算はあるんですか?」
「皆の働きに掛かってるね」
 無難な答えだ、とルーファは思った。
 カリタスというこの青年は、例えば南からやって来た誰か達のように、こう言った場でウィットに富んだ発言をしたりはしない。
 出来ないのではなく、しないのだ。必要であればするだろう。
「作戦を立てたのは私だが、皆がどれだけの尽力をしてくれるかによって勝敗は変わる。完勝もするし、完敗してもおかしくはない」
 カリタスは華麗な動作で鞘から小剣を抜き取り、そして正面、海の先へと翳してみせた。
「皆、聞いてくれ。私達の目指す場所はもう目と鼻の先、あと一日も航海すれば辿り付くだろう。そしてこの航路こそが、我等に取ってそのまま栄達の道となる」
 その声は大きいが粗野ではなく、玲瓏な響きをもって各船まで届いた。
「敵は北海にその名を轟かせる海賊達だ。だが、諸君らの働きを持ってすれば打ち破ることは決して不可能ではない。そう理解しているからこそ、皆もまたここにいるのだと信じている。加えて今回は、わざわざ南方から呼び寄せた強力な援軍も我等についている。こちらに負ける要因はただ一つとして無いのだ」
 翳した剣を収め、カリタスは背後へと振り返った。
 そこには彼のほうへと視線を集中させる海の戦士達の姿がある。
 彼らは一人として恐怖に恐れおののいてなどいない。
 瞳に宿る光はただ一つ、未来への希望だけを湛えている。
「良いか! 敵の数は多いが、その気勢に呑まれるなよ! 士気で負けなければ、質では間違い無くこちらが上だ! 諸君の健闘を期待しているぞ!」
 そのカリタスの声に、大きな歓声が津波と化して返って行く。
 それは繰り返し繰り返し湧き起こり、暫く止もうとはしなかった。

「素敵な方ですね。カリタスさんは」
 ”フォスベリー”の船上にて。
 何かに魅入られるようにして、リィはぽそりと呟いた。
「ふうん。君でもそんなこと言うんだな」
 フェレットは茶化すように言ったが、その顔は笑ってはいなかった。
「変ですか?」
「いや、別に」
 フェレット自身もまた、高鳴る気持ちを抑えられずにいたのは確かだ。
 まだ僅かに残っていた恐怖は、カリタスの言葉によって全て興奮と変えられた。
 しかしそれと共に、フェレットはまた別の種の恐ろしさを抱きもした。
(ああ言うことを平然とやれるから凄い)
 畏敬の念と言うべきか。
 かおるとはタイプが違うが、彼もまた一人の傑物であることは間違いない。
 そして敵に回したくない相手だと言うことも。

 それからまた数時間が経ち、船団はいよいよ”神の島”へと迫った。

8

 数十隻の船が、数隻の船を覆うようにして海に浮かんでいる。
 帆、船体と様々な色をしたカリタスらの船団に比べて、相対しているヴァイキング達の船は全て黒一色で統一されていた。
「解り易いが、不気味だな」
 吹き込んで来る風を浴びながら、カリタスは呟いた。
「不気味なのは色だけじゃないですよ」
 背後から響いたのはルーファの声だ。
 本来自身の船を持っている彼女も、今回はカリタスの参謀役として”オールド・ブラック・マジック”に乗り込んでいる。
 そもそも彼女は本来商人であり、元々こう言った荒事は得意な方ではないのだ。
 目的地に到達し、船団には緊張感が漲っている。
「見た感じ、あの黒い船団はこっちよりも数が少ないみたい」
「好都合じゃないか、こちらとしちゃ」
「……本当にあれが総勢なら良いのですが。けど相手はかの有名なあのウルフガングですからね」
 ルーファは呼吸を整えた。
 至って平然としているカリタスを見て、僅かに苛立ちを覚えもする。
 残虐として知られる海賊、ウルフガング。
 北海に轟き渡っているその威名が仮初めのものとは、とても思えない。
「何、もしかしたら噂だけが先走り過ぎたのかもしれん」
 平然としているだけではない。
 彼はさも楽しそうにこの状況を目にしている……ようにも見えた。
「我々を侮り、必要最低限の戦力だけを率いてきたのかもしれん。奴等は元々さらに北、リガの周辺を根城にしているらしいからな。我等のような名も知れない船団に、本腰を入れるまでも無いという事か」
「本当にそう思ってるのですか?」
「さあな」
 カリタスはふふ、と笑った。
 ルーファの不安は消えず、その眼差しが少しだけ冷たいものに変わる。
 冗談も程々にせねば、と、カリタスの瞳は底光りをした。
「世の中には様々な人間がいる。名声を得ることが出来る人間というのは特別な何かを持っているものだ。ウルフガングもここまで北海の人間に恐れられているんだ。きっとそれなりの物を持っているに違いない」
 整えられた髪を後ろに払った。芝居じみた動作だが、それが様になる。
「名声を得たその後が問題なのさ。自身の名声に奢れることなく進んで行ける者もいれば、名声の上に乗っかって何も出来なくなる者もいる。奴らはきっと後者だった」
「どこでそう判断を?」
 ルーファの怪訝な声。
「だったら良いと思っただけ……だな、現時点では。だが」
「だが?」
「運はきっと我々に味方しているさ。そう信じているよ」
 信じていると言うことだけでは根拠とはならない。
 ルーファはそう思った。
 だが、運もまた勝敗を決する一つの要素であることに間違いはない。
 カリタスもそう理解している上で口にしたのだろう。
 そしてそれ以上言葉を続けはしなかった。
 最上の戦術の上に運が加われば負けは無いのだと、確信して。
 見た限りでは船の数はこちらのほうが多いものの、敵船は何れもピンネース級の戦艦隊。
 戦闘用に改造されたピンネースに囲まれるようにして、中央には二隻の大型キャラック船がある。
「片方がウルフガングの旗艦、もう片方は……」
「ウルフガングの右腕と呼ばれている、グスターヴァスの船ですね」
 ルーファがカリタスに言葉を重ねる。
「かつて”フィヨルドの飢狼”と称される海賊団の首領であった男だな」
 北方を拠点とする海賊団のボスであったが、破格の待遇で迎えられてウルフガングの下についたとの噂だ。
 そしてウルフガングの下で名を上げ、今では”北海の飢狼”と呼ばれるようになった。
 現在まで彼に傷を負わせた者は一人としていないと噂される、白兵戦の鬼。
「む?」
 敵艦隊の陣形が割れ、一隻のピンネースがこちらへと飛び出してきた。
 徐々にこちらへと近付いてくるその船には、きっと人質が乗せられているのだろう。
 元々そう言う手はずとして、こちらも指令を受けている。
 大型キャラック船には武装がされておらず、戦闘の意思がないことを示していた。
 やがて船は”オールド・ブラック・マジック”の寸前まで迫る。
「お前等がアムステルダムからの使者か?」
 ピンネースから、荒々しい声が響いてきた。
 とても使者の応対とは思えないな、とカリタスは感想を小さく漏らす。
「手はず通り、お前等が用意してきた金品をこちらに寄越せ! それを確認した上で人質を返してやる!」
「人質が先だ!」
 一転して、カリタスは大きな声で返事をした。
「騙し討ちで名を挙げた海賊の言うことを素直には聞けん! 先に人質を渡してくれれば約束通り金品は渡す!」
 カリタスのその声を聞き、使者はあからさまに機嫌を悪くした。
 だが、カリタスの言葉は紛れもない真実だ。
 そのやり取りをはらはらしながら眺めているのはフェレットらもまた同じであった。
(中々肝が据わっているようね、あの人は。これだけの船団を率いているんだから、当然か)
 ”シャルトリューズ”の艦長、アイはそんな感想を抱いていた。
 彼女はフェレットやかおるらに比べて戦闘が得意ではなく……と言うより戦闘行為そのものを好んでおらず、自ら願い出て後陣に配置されていた。
「良いだろう! お前等の願い聞き入れてやる! だが、そんなことを言うからにはお前等は約束を守るんだろうなぁ?」
「言われるまでもない!」
 カリタスは絶えず強気な返事をしていたが、当然ながらルーファは浮かぬ顔になっている。
(今あそこに来てるのは下っ端だわ。幾ら腹を立てても、あいつには人質を殺す権限など持ってない……って事かしら? にしても)
 よくここまで言えるものだ、とルーファは感じていた。
 彼女だけじゃない、別の船の上から会話を聞いている人間達もまた、同様に思っていることだろう。

「フェレさん。あのピンネースから、人質が連れ出されているようですね」
 緊張した面持ちでリィは言った。
「ああ。僕等の出番ももう直ぐってことだ。みんな覚悟しておけ」
 ”フォスベリー”にも何時もの様な和やかな空気はない。
 フェレットを始めとして皆、駆け引きの様子にだけ気を取られている。
「怖いか? リィ」
 フェレットはぽそりと口にした。
「いえ、平気です」
 返ってきた返事は少し予想の外をいくものだった。
「見た感じもあまりいつもと変わってない……怖がってないように見えたが、本当にそう言い切るとはね」
 恐れ入った、とフェレットは天を仰いだ。
「……それに、君は相当プレッシャーがかかる役所だと思うけど」
「はは……よく分からないです。怖いと感じる余裕さえ、無くなっちゃってるのかも。フェレさんは?」
「よく分からないな、僕も。まあ何とかなるかなって思ってる。この間は散々ごねたクセに、変な話だな」
 今から数十分後にこの船の面々が皆屍に変わっている…そんな光景は想像出来ない。
(悪名高いウルフガングに、北海の何たらが僕等の敵か。だが)
 その二人を持ってしても、こちらの陣容に比べれば劣る。
 彼の心にはそんな確信があった。
 カリタスもそうだが、もう一人――長くを共にして来ている仲間。
(あの人がいる限り、なんか負けなさそうなんだよなあ)
 何故そう思うのか、自分でもよく解らないところがある。
 単純に雰囲気の問題か? それもあるだろうが。
「”オールド・ブラック・マジック”から、金品が運び出されてます。もう直ぐですね」
 リィが言う。
 取引の終了、それは即ち作戦の開始を表す。
「焦るなよ、みんな。……作戦開始まで後数分、町に帰り付いてから食べる旨いものの事でも考えておくんだ。そしたらいざと言う時に力が出せるようになる。帰ってアレを食べるまでは死ねるか、ってそう思えるようになる」
「さすが船長、良いこと言いやすぜ。そうだなぁ、俺は……アムステルダムのあの、肉や野菜をふんだんに使った素朴な味が恋しいなぁ」
「帰り道、ハンブルグでビールをたらふく飲むとしやしょうぜ」
「何言ってやがんだ、ビールよりソーセージが先に決まってんだろうが! 最初に一噛みした時のあの熱い汁が迸る感触と言ったら……」
「馬鹿、ビールがあるからそのつけあわせとしてソーセージが生きるんだ! ただソーセージだけなんて女に振られた四十過ぎの男みたいなもんよ」
「馬鹿はどっちだ! ビールこそ、ソーセージを美味しく食べる為のおまけみたいなもんだろう!……こうなったら、ハンブルグに行ったら勝負するか? どっちが旨いか、どちらの為にもう片方が存在してんのかをな」
「良いだろう。ビールの勝利は揺らがんだろうがな」
 やり取りを聞いていた他の船員が声を出して笑い転げる。
 一瞬で和やかなムードへと変わる”フォスベリー”の船上。
「君ら、せめてもう少し今の状況に集中しとけよ……」
 さすがのフェレットも苦い表情をしてそう言うのだった。
 苦い表情をした後、誰の目にも止まらないようにして、ふっと優しい表情に戻る。
 たった一度吹きこんで来た柔らかな空気は、今ここに在るものがどれだけ大事なのかを改めて実感させるのだった。
「リィ。あのさ」
「はい?」
「……いや、何でもない。頑張ろう、みんなで」
 フェレットが何を言おうとしたのか、考える暇など残されてはいなかった。
 リィも、彼自身にも。

「船長。ピンネースが後退して行きます」
「ふむ。そろそろ始まるな、私達の作戦が」
 漆黒のガレー船”永久機関”のみは、如何なる状況に直面しようとも流れる空気は同じ。
「カルパス船長も中々乙な作戦を立てる。敵が油断した隙に背後から豪華料理を御馳走してやろうとはな」
 ”永久機関”の船長、かおるはニヤリとした。
 その笑みは何かを湛えているようで、剛毅ではなくむしろ胡散臭い。
「なんだっけ。敵のボスの、その右手首って呼ばれてる奴」
かおるに訊ねられ、船員は一瞬考えて口にした。
「えーと……確か、グスターヴァスです。右手首ではなく、右手ですがね。”北海の飢狼”と異名を取る男だと言われています」
「あーそうだ。カッコイイなそれ。私が先に名乗っておけば良かった。”北海の飢狼のかおる”か。」
 あまり格好良くないような、とその船員は思ったが、敢えて無言を貫いた。
「あぁーそうだな。私もなんか、これからは異名を名乗るとするか。何か良いの無いかなぁ」
「あっ船長!」
 突如として船員は声を張り上げた…が、かおるは至って平然と
「良いのあった?」
そう訊ね返した。
 かおる以外の船員は当然血相を変えている。
「”オールド・ブラック・マジック”から狼煙が上がりました! 作戦開始の合図が出ましたよ船長!!」
「ああ。ついに」
 この場においてもかおるは至って冷静。
 その様子を見やり、騒がしくなりかけていた船内もまた静まり返る。
 皆、船長の一声を心待ちにして。
 かおるもその様子を感じ取り、こほんと小さく咳払いをした。
 光る視線はまるで狼の牙のように鋭い!
「……じゃ、”北海の飢えた飢狼”で行こうかな。これからは」
「船長! 合図を!」
「――前進するぞ! ラッシャアアオラァ!!」
 かおるが一瞬拗ねた表情をしたのを、誰もが見逃しはしなかった。

「”フォスベリー”と”永久機関”は前に出た。我等も行くぞ」
 船長カリタスが声を放つと、”オールド・ブラック・マジック”は嘶き前進を始めた。
「アイ、ラトク、それにパング……全て定位置についているな。現時点で問題はない」
 アムステルダムから輸送してきた金品を人質と交換し、金品を積んだピンネースは敵の陣へと戻って行っている。
 その影に隠れるようにして、三隻の船もまた敵陣へと向かって進撃を開始。
 ピンネースの船員達は当然こちらの動向に気が付いているだろう。
 あと少しも進めば、敵の艦隊にも勘付かれるのは間違い無い。
 だが、船は迷うことなくただ前だけを目指す。
 敵の艦隊が徐々に大きくなって来、重圧感を感じ始める。
 まだ敵陣から大砲は飛んでこない。
 ピンネースがブラインドになっているのだろうが、小細工はどうせ通用しない、と侮られているのかもわからない。
「……海賊如きにやりたくもない宝石をくれてやった。だが、本来彼らに似合うのは金品じゃあない」
 金品が載せられたピンネースに、三隻の船が近付いていく。
 元々いつでも攻撃は仕掛けられたのだが、敵陣に近付くまで泳がせていた。
「下準備を丹念にしておいた”仔羊の料理”――謹んで味わい給えよ」
 カリタスは静かに笑んだ。
 蒼く澄んだチェスボードの上で、駒は今、動き出したのだ。
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  1. 2005/06/23(木) 05:23:47|
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